« むなしい(-_-;)・・・。 | トップページ | まっすぐ縫う。 »

2013年7月27日 (土)

『風立ちぬ』。


芸術・人文 ブログランキングへ

土曜日に、スタジオジブリの話題作

『風立ちぬ』を観にいってきました。

いつもながら丹念な風景・風物描写のうつくしさにみとれてしまいます。

ゼロ戦の設計者である実在の人物・堀越二郎

同時代人(この二人、ともに一高・帝大で理科と文科のちがいはあるもののほぼ同年)
である堀辰雄の世界観が重ねられています。

震災直後の帝都、なじみの学生街の食堂で
さばの味噌煮定食(安くて美味しくて学生の常食だったのかも(^^))
を食しながら、
さばの骨のカーブにすら新型飛行機の曲線を思いえがく(笑)
帝大生の二郎さん。

幼い頃からずっと抱いていた空へのあこがれ、
極度の近眼でパイロットになれず
ローティーンにして「理想の飛行機」を完成させることを志す
少年時代の二郎さんの夢にしばしば登場するのは
あこがれの航空機メーカーのオーナーで
立志伝の人物・カプローニ伯爵。

三菱に就職して
ドイツの航空技術を視察したり、
日々新型機の開発・設計にいそしみながら
かつて震災のとき助けた少女・菜穂子さんとの再会。

激しい恋におちる二人だが
美しく成長した菜穂子さんはすでに結核に冒されていた・・・。

戦雲ただよう暗い時代と別天地であるかのごとく
緑濃い軽井沢の美しい光と風のなかで
くるくるととぶ紙ひこうき
が暗示するのは夢か絶望か・・・。

宮崎駿さんは左だとか反日だとか、
でも本作に関していえば(ゼロ戦の設計者が主人公なので)
軍礼賛とかいろいろ毀誉褒貶はげしいようですが、
どれもこの作品にはあてはまらないと感じました。

ここにあるのは、「幼い頃からの夢を生涯追い続けた人」「夢をライフワークにした人」の
物語(私ども凡人からすれば、たいそううらやましい)。

そして夢から醒めたとき
敗戦の焦土に呆然とたたずむ二郎さん。

「ひとりも帰ってきませんでした・・・」
生々しい撃滅戦や
愛妻の悲しい死が
直接描かれていないだけに、かえって切ないラスト。

国やぶれて山河あり
二郎さんが生涯の夢を賭けたゼロ戦の残骸、
しかしそのかなたに
敬愛するカプローニ伯爵と
愛妻・菜穂子さんが現れる。

ふたりに励まされ絶望のふちから
再生の希望を見出す二郎さん(なのか?)。

・・・欲をいえば、愛する菜穂子さんを亡くした悲しみと喪失感
をまぎらわすために
二郎さんがマッドサイエンティストよろしく
ゼロ戦の開発に悪魔的にとりくむ鬼気迫るシーン
をほんの一瞬だけでも挟んでくださったら、
ラストの二郎さんの茫漠たる心境がいっそう浮かび上がったのではないか
と思います
とにかく悲しみを湛えながらも淡々と美しくまとめられた作品(そのまま堀辰雄の文学世界)ですね。

ラストシーンに重なるユーミンの名曲『ひこうき雲』、
本作のためにあるとしか思えないほどマッチした主題歌です

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

« むなしい(-_-;)・・・。 | トップページ | まっすぐ縫う。 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« むなしい(-_-;)・・・。 | トップページ | まっすぐ縫う。 »

フォト
無料ブログはココログ
2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

にほんブログ村