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2013年8月13日 (火)

映画『少年H』。

20130813164826.jpg

少年H』を観賞してきました。

ふつうに良い映画でした(^^)。

なんだかNHKの終戦記念特別ドラマみたいな雰囲気。

あの時代をせいいっぱい生き抜いた善良な家族の物語。

テーラーを営むお父さんが

予想とちがい(笑)いわゆる店舗、小売店ではなく
お得意さんのもとに出向いて採寸、仕立物を届けるシステム
がちょっと意外でしたが、
職人さんが直接注文取りにまわるのは
少し昔はありふれた日常だったのでしょうか。

アメリカ人、ドイツ人、フランス人とさまざまな顧客を相手にする
港町・神戸の仕立て職人だけに
開明的で柔和なお父さんと、信仰熱心なクリスチャンでしつけはきびしいけど優しいお母さん、一家のささやかなしあわせにも戦火の影が濃くなってきて・・・

ヨーロッパから逃れてきた亡命ユダヤ人のために
なにも問わず綻びた衣服を修繕するお父さん、
共産主義かぶれとして検挙され戦地の最前線に送られる近所のうどん屋のお兄さん、
召集の赤紙が来て悲観して自ら命をたった元女形の青年。

進学した中学では軍事教練の毎日。
神戸も空襲が始まり小学生の妹は疎開。
そして大空襲、神戸の街は全焼し廃墟のがれきと化す。

焼け跡で焦げたミシンの残骸をつかみ放心するお父さん。
そして敗戦。
廃墟の街で人々の生き残るための戦いが始まる。

戦雲たれこめる暗い時代に決して希望をうしなわず
前向きに生きる姿勢をみせてくれていたお父さんが
いっときなぜか腑抜けてしまう。
・・・対照的に、中学生の恐怖の対象だった軍事教官は
質屋にくらがえして、なぜか楽しそうに社会主義アピールの街頭演説に聞きほれる。

街のおとなたちも昔とかわらず舌戦に余念がないけれど、
唯一変わったのはその内容が皇国うんぬんから民主主義になったこと。

思春期にさしかかったH少年は大人たちのふがいなさと変節に
いやけがさして突発的に
『路傍の石』の主人公のごとく線路の枕木にぶら下がるが・・・
何事もなく汽車はHの頭上を通り過ぎてゆきました(ほんとうによかったね)。

やがて我に返ったお父さんはなんとかミシンを修理、
古着をお母さんのブラウスとスカートにリメイクしたのを皮切りに
仕立て業を再開。

看板がきのアルバイトするH少年が
不死鳥を描きながら、明日への希望がひらけそうな場面で映画は幕を閉じる。

・・・戦後の極端な衣料不足のなか、
残った古い着物をなんとか再生するために
メーカーやデパートでは焼けたミシンの修復がさかんに行われ
(東京重機、現ジューキをはじめ軍需メーカーで
ミシンメーカーに転じた企業が少なくなかった)
アメリカ文化の急激な導入で洋服が爆発的に普及した時代。

・・・Hのお父さんのような腕のよい仕立て職人は
それこそ引く手あまたで
むしろ時代の混乱に乗じて莫大な財をなしたのでは・・・
と邪推(笑)してしまいますが、むろんそんなことはかかれていません(^_^;)。

仔細にみると、
あれほどの大空襲なのにご近所や友人誰も亡くならなかったの?
(街のおとしよりは戦前戦中とかわらずふたりで四方山話に明け暮れているし、
クラスメートも終戦の詔で全員整列している)
とか、
街が瓦解するほどの空襲うけたのになんで中学の武器庫が無傷なの?
とふにおちない点(笑)はいくつかあるものの、
まず良い映画だったと思います。
ありがとう少年H。

神戸異人館・イノシシ?

そして近年は、あの阪神淡路大震災からもみごとな復興をとげた
神戸のいっそうの繁栄を祈ります。

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