リッカーニュース・・・栄光のリッカーミシン。
1961~64年(昭和36年から39年)ごろの
『リッカーニュース』数点を入手する幸運に恵まれました。
第二次大戦後の窮乏期を脱し
急激にものが豊かになりつつあった、高度経済成長期
(とはいうものの、一般人の生活は現代
と比較にならないほど、依然地味でつつましかった)。
当時の花形産業だったミシンメーカー、
殊にリッカーミシンはミシンにとどまらず
オリンピック代表候補や野球選手等
アスリート育成や文化事業にも尽力し、メディアとのタイアップで華やかに一時代を築きあげた。
『リッカーニュース』
はその内容からして、きっと
ミシン購入してローン支払い中の顧客の家庭に毎月配布されたのでは
と想像します(かつてミシンは、ミシン積立なるローンで買う高級品だった😄)。
1961年、渋谷の東急文化会館(現・渋谷ヒカリエ?)
屋上に設立されたリッカーミシンネオン塔。
ディズニーの名作『シンデレラ』上映中が、時代をものがたる😊。
「ご愛用者訪問」記事は、浜松の毛織物工場。
リッカーふくめ大企業はむろん
当時の高度経済成長を支えていたのは
このような無数の工場や小企業、
従業員のみなさんが
「全員が九州出身の十五、六歳から二十歳までの若い女性」
ということは当時さかんだった中卒者の集団就職で集まったひとたちでしょうか。
日本各地でありふれた風景だったのでしょう。
本文みひらき。
左ページはママと女の子の夏のふだん着、
1961年ですから60年前のおしゃれがうかがえますね。
右は福岡県の小学六年生、谷口正喜さんというかたの書いた作文です。
全文引用、
ぼくは、外で遊んでいた。すると、ぼくの妹が「兄ちゃんミシンがきたよ」と、いった。
ぼくは、ミシンが来たのは、しらなかったので
「うそだろう」と、言うと、「うそじゃない」と、いったので、
家にかえると、ほんとうにミシンが来ていた。
ミシンのなまえは、「リッカーミシン」だった。
もうおかあさんが使っていた。
「ぼくも、使わしんしゃい」と、言うと、使わしてくれた。
五年生の時、ミシンの使い方をならっていたので、すこしは、ふみきった。
その夜、「あれはふみ板、あれは、ベルトはずしだ」と、いいながら、
家族みんな、ミシンをかこんであそんだ。
学校でも、ミシンのことは、わすれなかった。かえると、またミシンのいすに、すわって、
ふみ板をふんでから外に遊びに行く。
その夜も、夕飯を食べると、すぐに、ミシンの所に行った。
そして、はじめは、古いぬのでぬってそれから、自分でぞうきんをぬった。
こんどは、中の方を、やぶれないように、ぬっていると、ふみ板がかたくなり、
まわらないようになったので、ぼくは、はらはらした。
おもいきって、おとうさんに言うと、「となりの人を、よんできてごらん」と、
言われたので、よんで来ると、「これは糸がくいこんでいるのですよ」と、
いって、すぐになおしてくれたので、ぼくはやっとあんしんした。
それから、またぬいつづけた。すると、こんどはうまくいったので、うれしかった。
またぬいつづけると、おかあさんが「いきをつかしては、いけないよ」と、いわれた。
ぼくは、ちゅういしながら、ぬっていくと、こんどは、「コト、コト」と、いったので、
どうしたのかと、きいてみると、「まだ新しいからですよ」と、いわれたので、
安心してぬっていった。
八時ごろからはじめて、九時ごろまで、かかった。
それから、ひきだしを見ると、いろいろな物が入っている。
おかあさんが「よそのミシンよりもサービスがよいね」と、いわれた。
こん月が、リッカーミシンの、記念(註・・・立川工場本館竣工記念)なので、
サービスも、よかったのだそうだ。
ぼくは、きかいいじりがすきだけれども、こわさないで、大切にしようと思っている。
前期の作文は福岡県糸島郡深江小学校で生徒に作文を書かせました際に
なかなか優秀と認められ、児童達の前で朗読されました。
内容は当社のミシンに関するもので、学校の児童がミシンに関心を抱いている
一端が、よくうかがわれます。
尚、谷口正喜君は、当社の顧客谷口正三様のご子息です。
谷口君には当社から粗品を贈呈いたしました。
・・・と、あります。
新しい道具(ミシン)を迎えて家族みんながはしゃいでいる
たのしい様子が、いきいきと伝わってきますね😊。
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