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2021年6月 5日 (土)

意外な愛読者。『時代の中の・・・』こぼれ話



だいぶ前に書いた日記、
おそすぎる追記になってしまいますが・・・

団塊の世代の高校時代の
荒れ狂う青春を活写した『​高校放浪記​』、
あのミュージシャンのASKAさんが
愛読者でいらしたことを知って、驚きました。

https://www.fellows.tokyo/blog/?id=2865

日本にとどまらず
アジア各国でミリオンセラーを記録する
メガヒットメーカーのASKAさん
が、『高校放浪記』原作者のかたとお会いしてお話してみたい
と熱望されているとは。

『高校放浪記』は1972年から翌73年にかけて初版4冊発行、
かぞえると
ASKAさんが多感な10代の中学高校時代と一致するので
年代的に愛読なさっていてもおかしくないのですが。

以前の日記に書いた通り、
私自身はこの手記に感銘はうけましたが共感はできませんでした。

『貧乏』も『境遇』もまったくいいわけにできない、

決して経済的に豊かではないなかで
子どもたちは本人が望めば大学にいかせて当然という教育熱心な家庭、

筆者のかたは手記の中で
厳格な父を憎み
ただひとり自分に甘い母を慕っていますが、

やっていることは
教師への反抗、サボり、喧嘩(という名の弱者いじめ、ほぼ一方的な暴力)、喫煙、
家出をくりかえし家のお金を持ち出して遊び歩く、
典型的な不良息子ぶり

まるで勉強しないくせに成績不振や素行不良をお父さんに咎められると荒れ狂い、
唯一自分の味方であるはずのお母さんにも
気に入らないと暴力をふるい
財布からなけなしの金を奪う、
もちろん自身の無軌道な行動にまるで責任をもてず
窮地に追い込まれると
「俺を見捨てんといてくれ」
とお母さんに泣きつく、そのくりかえし(うんざり・・・)。

この筆者のかたほど極端ではないにせよ、
いつの時代にもこんな若者は存在するような。

本来頭は悪くないので
けんかや反抗で荒れ狂うエネルギーを
もっと建設的な方向に向けることができれば
すばらしい成果も夢ではなさそうなのに、
すぐカッとなり、地道に努力して積み重ねる根気が欠けている。
(「医者になりたい」という夢だけは一貫しているはずなのに、それ相応の勉強したようすは皆無)

筆者のかた(1949年生まれ)が
以後の不良と多少ちがうとすれば、
みょうに理屈っぽいこと
(時代の空気なのかなあ?)、

おそらく会ったことも見たこともないであろう
資本家を憎悪し、
高校中退して短期間はたらいた工場
​​の管理職を大卒というだけで忌み嫌う、
社会の上層部に対する滑稽なまでの激烈な憎しみが活写されているのですが
その理由が自分がそうでないことからくる劣等感
の裏返しであると
書いている当人だけが気づいていない、
悲哀。

発刊当時の(いまも?)
若い人に支持されたのもわかる気がします。

・自分がうまくゆかないことを自分以外の誰かのせいにしたい。
・エエカッコはしたい(例えば、有名大学に合格)が
 それに見合う努力(効率的な受験勉強に集中)はイヤ。

程度の差はあれ思い当たるふしのある人は少なくないんじゃないでしょうか
(もちろん私も😅)。

この手記がすごいのは、
現実の高校放浪からまだあまり時間の経っていない時期に
一気に書き上げたものであろうところです。

たぶんろくに推敲もせず、真情叩きつけるように書かれた文。
そのぶん稚拙で読みづらい以上に、止まらず読ませる迫力があります。
体制への批判(幼稚な悪口でしかありませんが)や
反社会的な素行(下級生を脅して金品を巻き上げたり、飲酒喫煙、異性交遊)
もそのまま記されているので、現在なら出版できないかも。

放蕩無頼
なんて格好いいものではなく、

高校生のくせに(現実には高校中退中で、次の高校を探している段階)
お金もないのに飲み屋で豪遊して、
幼稚な義侠心から
懇ろになったお店の女の子の借金を肩代わりしてやる気になり、
不良仲間を通してお父さんに50万円のお金の都合を頼み、
(クリスマスシーズンなのでイエス様に万一の結果を祈った)
あっさり却下され(当然)、
(人間を人間と見ん世の中を作っとるこの資本主義社会の一番下でもがいとる人間一人を
助けることもできんのが俺なんか?俺の親父なんか?)
とくやしさに思いきり泣く。

いっぽう、飲み屋のつけは20万円ほどあり、
(わりかんの約束だから、4人で5万円か、知れとるね)
と思っていたら他3人の不良仲間がうまくバックレてしまい、
​(親は一銭も出してくれないというのです。友達のほうは親が払うとばかり思っているのですから、私としては責めようがないのです。)​

お父さんは​「無銭飲食でつかまえてもらえ」​

​​というだけで(正論である。お金もないくせに飲み屋で親の金のつもりで豪遊するほうがおかしい)、
お母さんには20万円支払う力はない。
そしてどうなるかというと、
『3日ほど待ってもらい、高利貸から10万円、母方の親類から10万円を借りて清算したのは、年が明けてからでした。』

ちなみに1969年当時の大卒初任給の平均が32,400円。
現在の価値にあてはめると
およそ6倍として、
お店の女の子の借金の清算にお父さんにねだったお金が約300万円、
お店のつけが約120万円、
不良仲間におしつけられたのはお人好しで気の毒だとしても
ひとりぶん約30万円。
・・・・・・・
放蕩息子、馬鹿息子を絵にかいたようですが、
これは単なる挿話にすぎず、
読む側が眉を顰めるような同等のエピソードが、事欠きません。

筆者が完全に大人になってから上梓するならば
若き日の行状をこれほどストレートに活写できなかったでしょう。
おとなの分別で、かつての自分の行動への反省や親への謝罪が前面に出てきそうで、
その意味ではよくぞ貴重な記録を残したものだと思います。

筆者のかたのその後を知りたい。
多くの読者がそう思っておられるでしょうが、
そのなかにASKAさんのようなビッグネームがいらっしゃるとは。

ASKAさんほど社会的な力をお持ちなら、
現在の筆者のかたを探し出して対談にこぎつけることも
不可能ではないかもしれません。
ぜひ、みてみたい
気持ちもありますが・・・
私の勝手な想像ですが、
筆者のかたがご健在だとして・・・
公の席には出ていらっしゃらないだろうなと思います。
ほぼ10年前に
角川文庫が『高校放浪記』前半部のみ復刊した、
そのときも近況が知れることは無かったので
今回も同様ではないかと。

もう半世紀近く前の青春の記録です。
筆者のかたも半世紀で大きく変貌して
考え方も当時のままではないであろうことを思えば、
とうにリセット済み
の著書にふれたくないのではと察します。

封印された若さの記録。​​
その瞬間で時間が止まっているからこそ、
恥多き過去であれ
著者から離れても永遠の生命を保つ。

「その後」というほどでもないですが
ネットの稀少な証言みつけました。

青春とは? 青い純粋!

ブロガーさんの高校時代の記憶ということで・・・
想像するに1974年前後でしょうか。

筆者のかたはまだ20代半ば、いかにも筆者のかたらしいですが
ブロガーさんにとって大切な思い出でしょうが
書いてあることが本当だとすれば(作り話とは思えません)、
未成年略取でたいへんな事案ですよ。
東京でおんぼろアパート借りて
『高校放浪記』ファンの家出少女と何日もいっしょにいるって(困)。

察するに『高校放浪記』出版を皮切りに
出版社やマスメディアに拠点をつくろうとした、
でも思うようにいかなくて三重県に帰郷された
のでしょうか。

三重県~愛知県を転々としながら
学習塾経営をつづけた、
それ以降のことはわかりません。

その後の消息がまったく出てこないのは
逆に
堅実に生活なさっているから
とも受け取れ、
荒れ狂う青春の過ぎ去ったのち
行政や警察のお世話にもならず
市井でおちついて暮らしていらっしゃるとすれば、
それだけでも大成功ですね。




・・・ASKAさんの記述で
ひとつ、首をかしげたこと、
筆者のかたが唯一心を開いていた
「米子のおばさん」って???
そんなひといたっけ。
もしかして、4番目の高校(三重県の片田舎の素朴な分校で、高校時代の奥様と出会った)
の下宿のおばさんと混同なさってる?

鳥取大学医学部に通っていたお兄さんの下宿先の家の人は
「くそばばあ」と罵ってるし、
相手が酷いというより筆者のかた本人の問題
(好き嫌いが激しすぎ、自分に甘くしてくる相手には際限なく甘える)
でしょうね。


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