『貧窮問答歌』に寄す。
「貧窮のどん底にあえいだことある?」
と、お父さんに聞くと
「今だ。」(キッパリ)
これには、ひとこともございません😂🤣😆。
ひさしぶりに『万葉集』の有名な作品を思い出しました。
私どもの年代では
「律令体制の民衆の過酷な生活を描いた」
と、小中高で叩き込まれた
山上憶良の『貧窮問答歌』。
山上憶良:その生涯と貧窮問答歌
貧しい者がさらに貧しい者に問いかけ
応答する形式
と教わりましたが、
問いかけている人は役人であるとか、
作者の山上憶良自身を投影しているとみる研究者もいらっしゃるようです。
憶良さん自身は
朝廷から派遣された
筑前の国司、
現在なら県知事のようなポストにあるので
このような貧困とは無縁であるにもかかわらず
貧しい民衆に心寄せてその惨状を
朝廷に訴えるために上梓したという説、
意外にも、
いやいや憶良自身も実はまずしくて
貧の苦しみに共感したのだ
という説、
(有力貴族や氏の出身ではなく
かなり高齢になるまで無位無官だった、
現代風にいうならばノンキャリ?)
いずれにせよ奈良時代の圧政下の民衆の苦しみ
をうたいあげた作品という定説ですが・・・
こちらの有名サイトの解釈は、眼から鱗が落ちるようで
とても新鮮に感じました。
秋の七草と貧窮問答歌
憶良さんは百済からの渡来人
または渡来人の子孫ともいわれ、
いっぽうで遣唐使の一員として大唐帝国に留学した英才、
いわば当時のコスモポリタンで
日本土着ではない根無し草的な側面もあり
「よるべなき身」のかなしみを知るひとであったとも想像できます。
千年以上前から
自然の美しさや人生の哀歓、男女の愛、望郷の念、
今もかわらないひとのこころを率直にうたいあげる
『万葉集』の魅力はつきませんが、
後世の解釈もいろいろで・・・
(中級官吏だった)山上憶良さんは、
まさか自作がこんな使われ方をするとは
予想だにしなかったでしょうね😅
(体制批判、レジスタンス?)。
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