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2021年10月24日 (日)

『エリザベート』

Photo_20211026133701 ハプスブルク家最後の皇女​エリザベート​。

絶世の美女として全世界に知られる​同名の祖母​(愛称シシ―)、
父は『うたかたの恋』の主人公ルドルフ皇太子。

皇太子夫妻の唯一の子である彼女は、
もし男性に生まれていたら
まぎれもなくオーストリア・ハンガリー帝国の皇帝となるべき人でした。

地方貴族出身の一介の青年将校と
初恋を実らせて貴賤結婚
(結婚で王家離脱とはいえその持参金は現在の額に算定して約300億円!!
ハプスブルク家の栄耀栄華が偲ばれますね!)。
三男一女に恵まれながら
次第に二人の価値観のちがいから
結婚生活は瓦解、長い別居へ。

第一次大戦後
ハプスブルク帝国は消滅、
時代の混乱と激変のなかで
離婚訴訟のトラブルのとき支援してくれた
オーストリア社会民主党のメンバーと親しくなり
労働者出身の社会民主党幹部と再婚。
『赤い皇女』と世間を驚かせた。

その間も、時代の激変にほんろうされる数奇な運命。

ハプスブルグ家の頂点の高貴な生まれでありながら
なによりも自由を愛し
真実の愛をもとめつづける直情的な気質は
祖母シシ―や父上のルドルフからひきつがれた血なのかもしれません。

激動の時代に因する
苛酷な現実に直面してもひるまず
凛として立ち向かう生きざま、

この点からだけでも
国家にも家族にさえも背を向けて
自分のからにとじこもりひたすら自愛にのみ没頭した
お祖母さまのシシ―より、
彼女のほうが人間的には遥かに上と感じます。

戦時中は
赤十字の看護師として前線で傷病兵の看護にあたり、
ノブレス・オブリージュを発揮、

ひたむきに愛するがゆえに
傷つくことも多いのですが、
後半生の結婚生活が幸せだったのは
彼女が単なる深窓のお姫様ではなく
『真実を見抜く眼』をそなえていたからでしょうか。

塚本哲也先生のノンフィクションを
大御所の水野英子先生がコミカライズ、

ヒロインのエリザベートはもちろんですが

フランツ・ヨーゼフ帝も
美しきシシ―も、
彼女の母ステファニー妃も
最初の夫君オットーも、
戦死した恋人レルヒ少尉も、
終生の伴侶となった社民党幹部ペツネックも、
ナチ入党して若くして事故死した三男ルドルフも、
ヒトラーも、

皆それぞれの立場で真摯に生きていた有様が伝わってきます。
水野英子先生うまいなあ💖。

塚本哲也先生の原作も、読まなくては😅。


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