怪談・あやしい美女は白狼の化身?
『きくドラ』で偶然、あいまみえました。
子供のころ、小学校の図書室で借りたか
同級生から貸してもらったかで読み、
こわくて夜は眠れなかった、ブルブルガタガタ(笑)。
人狼 The WerewolvesマリヤットFrederick Marryat あらすじ
なつかしいなあ。
すごく怖いのだけど
面白くて物語にひきこまれてゆく、
行ったことはないけれど
東欧の山岳地帯の茫漠とした冬の雰囲気までリアルに感じてしまいます。
もちろん子供のころ読んだときは
いつの時代のどこの国のお話で
作者が誰かも存じ上げませんでしたが、
いまはなんでも検索できるべんりな時代。
原作者がイギリス人とは、意外でした。
英国・アイルランドは怪奇幻想文学の宝庫ではありますが、
作中にトランシルバニア
と出てくるところから、東欧の昔話が起源かと思い込んでいました😊。
原題は『人狼』または『ハルツ山の人狼』
というそうで、ちなみにこのハルツ山は現在のドイツ中部に位置する山脈で、
『ブロッケンの妖怪』や魔女の集会『ワルプルギス・ナイト』
でも知られる有名なエリアだそうです。
地図でみただけでも、トランシルバニアからそうとう離れているので
少しびっくり(記憶や思い込みってあてになりませんね😅)。
『きくドラ』、さすがにナレーターのかた上手いなあ。
ラストの恐ろしさは絶品🤩🤩。
ただしちょっとわからない部分があります。
誓いを破った者は、その子までも
破約の呪いから逃れられず不遇の死あるのみ
と強調されていますが
そもそも美女に化身して
(語り手の)父親をたぶらかし
罪もない幼い子供たちを牙にかけあやめたのは
白い狼のほうであり、
父親が発砲しなければ父と語り手も父子ともに
同じく喰い殺されたであろうことをおもんぱかれば
「彼女を永遠に守り愛す」誓いなど絵空事にすぎず
まして破約の報復なんて理不尽としか思えませんが、
もしかして
ヨーロッパのキリスト教社会では、
キリスト教の神ではない山の怪などと約束すること自体が
罰せられるべき事なのでしょうか。
このあたりがいまひとつ、私にはわかりませんでした。
ストーリーをたどれば
どちらにせよ、語り手一家を呪い悲惨な最期に陥れるために
はじめから山の怪が仕組んだ
としか思えません😱😱(怖い怖い)。
なぜ呪われなければならないのか
明確な理由がわからないために
とても怖いのですが些かお話がチープに感じられるのも、いなめません。
『不条理の恐怖』というものも、むろんあるのでしょうが。
この恐ろしくも魅力的な挿話、
現在もいろんな出版社から怪奇アンソロジーで出ているようで、
児童向けで読みやすそうな本を見つけたので
さっそく図書館にリクエストしました。
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