文化・芸術

2019年7月22日 (月)

OSKの『海神別荘』。

歌舞伎や舞台で、さまざまに上演重ねられる『​海神別荘​』。
ありがたいことに、青空文庫で原作の全文が読めます。

青空文庫 海神別荘

超自我の幻想

読めば、今回のOSKの舞台がいかに
鏡花の原作を忠実に再現していることか、むしろ驚きます。
2019osk1_20190803151501
OSKトップスター・桐生麻耶さんと城月れいさんの名コンビ。

役名はそのまま、『公子』と『美女』。
『公子』は海帝のあととり(皇太子?)、
原作エピによれば
あの『竜宮城』の『乙姫さま』の弟にあたるらしい(^^)。

『美女』は陸の娘だったが、
地上の栄華をねがう父親はじめ漁村の人々のために
人身御供として海に捧げられ、
「人」から「人外」に転生して公子の花嫁となった。

この『美女』のお輿入れの場面は
19世紀の『ラファエル前派』描くところの
テーマ『水と乙女』をほうふつとさせる。

水辺のオフィーリア。20191_20190803151601 20193

20192_20190803151601 オフィーリアの入水、
海へのささげものとされた『美女』の入水に重なってみえますね。

20191_20190803151602
アストラットのエレイン姫。
失恋の傷心で落命したエレインの亡骸は、彼女の遺言により
小舟でキャメロット城にむけて流される。
20192_20190803151603
英国留学中の漱石も魅せられた
アーサー王伝説の幻想シーン。
20192_20190803151602
エレイン姫のヴァージョンというべき『シャロットの乙女』。 

20191_20190803151603 かなわぬ恋に憑かれたかのように小舟でキャメロット城に赴かんとするシャロットの乙女、
まもなく彼女は息絶える。
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一方、『海神別荘』の美女は
海に投身してのち、タツノオトシゴの輿にゆられて覚醒する。
2019osk3_20190803151501
「精霊」や「物の怪」といった「人外の者」
を耽美な筆で格調たかく描いた鏡花は、
実際に「物の怪」や「精霊たち」と自在に対話できたのではないか
と思えるほどに、幻想の世界に引き込まれます。
2019osk5
公子の宮城を護衛する
『黒潮騎士団』。
海をあらしてまわる海賊然とした『赤鮫』
と対決するアクションシーンがかっこいい。
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公子の花嫁が御輿入れ、
祝賀ムードに浮かれて舞い踊る
僧都(楊琳さん)と腰元たち。

韓流時代劇と華流武侠劇をミックスしたような、
エキゾチックなファッション。

入水して転生した『美女』は、
陸の人々の眼にはおそろしい白蛇にしかみえない。
2019osk6_20190803151501
昨年末の『円卓の騎士』でシルフィードに扮した
OSKの名ダンサー、麗羅リコさん。
流麗な舞であやしい白蛇を好演。

外はとても暑いけど、
南座では歌劇おとめのみなさんの熱演で魅了されました。
どうもありがとうございます(^^)。


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2019年7月21日 (日)

OSK SAKURA REVUE にいってきました。

2019osk1  

京都南座の
OSK SAKURA REVUE
第一部 歌劇『海神別荘』
第二部 STORM of APPLAUSE 
(​OSK日本歌劇団​が毎年開催の『夏のおどり』)
を観にいってきました。
2019osk4
現在ほぼ57名の
OSKメンバーがほとんど全員集合する
二大メインイベント『春のおどり』『夏のおどり』。
(ミュージカルも好きですが、こちらの出演人数は10数名~20名前後?) 
2019osk2
圧巻で、幻惑されましたね。

2019osk3
幕間時間に
ちょっとはりこんで(笑)いただいた、『OSK弁当』。
なだ万茶寮​プロデュース、お値段1500円なり。
2019osk6
美味しかったです。


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2019年6月15日 (土)

昭和の星。

5月に戦後を代表する大女優・京マチ子さん、
そして6月は作家の田辺聖子さん
が天寿を全うされました。
またしても、『昭和』が遠くなった感じです。

おふたりともに
OSKとご縁が深く(京マチ子さんはOSK出身者にして最大のスター、
田辺聖子さんは熱烈なタカラヅカファンで知られる少女歌劇愛好家。)、
公式サイト​もお二方ともに悼辞を発表しておられますね。

タカラヅカ同様
これから、田辺先生原作のドラマも
OSKで舞台化される機会多々あってほしい・・・と望みます。

貴重な動画があがっていました。

 

平成になってからNHKBSプレミアムで放映されたとおぼしき、
1982年ごろの映像
(OSK60年とあるので、たぶん(@^^)/~~~)。

京マチ子さんのオーラや美しさはいうまでもなく、
今みるとなんだかなつかしい気がします。


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2019年6月 9日 (日)

OSK『サリエリ&モーツァルト』。

Osk20191  観劇してきました。
虹架路万さんのサリエリ、愛瀬光さんのモーツァルト。
ダブル主演
ということで・・・、逆の配役のおふたりも観てみたかったですね。
数日のみの上演なので残念、
しかしいつみても、少ない上演日数、少ない人数、(たぶん)少ないスタッフ
ながら完成度の高いすばらしい舞台で魅了してくださることに感動します💓。

全篇通してちりばめられるモーツァルトナンバー🎵、
おなじみの
アイネクライネナハトムジーク、
フィガロの序曲、
ドン・ジョバンニ、
トルコ行進曲・・・
パパゲーノの歌も聴きたかった(^^♪。

自由奔放にして百花繚乱、聴衆を酔わせる
モーツァルトの楽曲は、
「いきるよろこび」に相応しい、天与の至福。

・・・が、皇帝ヨーゼフ二世はじめとする
宮中の面々は、その才能には脱帽しながらも
作品のあまりの「饒舌」さ、エモーショナルで俗っぽすぎるとうけとり、敬遠してしまう。

・・・当時の音楽の中枢は教会音楽、あるいは王侯貴族を称える儀礼的要素がつよく、
あまりに天衣無縫で喜怒哀楽にあふれたモーツァルトの才能はうけいれがたいものだった
(「時代に早すぎた天才」は、しかも「時代を越えた天才」ですらあった・・・)。

音楽の都ウィーンで
宮仕えの夢たたれたモーツァルトは
市井に活路をもとめ、
場末の劇場で庶民に喝采あびる
しがない通俗音楽家とみなされるが・・・

モーツァルトの天才に誰よりも心うたれ
共感していたのは
宮廷楽長として音楽のトップに君臨するサリエリだった。

そのたぐいまれなる才能を熱愛すると同時に
嫉妬で胸がはりさけそうになる。

「・・・あの軽薄な若者に、私は手を差し伸べるべきなのか?
それともこのままだまってみすごすほうがよいのか・・・」

苦悩するサリエリ。

が、お調子者とみられていたモーツァルトも
自らの畢生の音楽が世間にうけないジレンマに苦しんでいた。

経済的な貧窮と作曲の過労は、徐々にその生命をむしばんでゆく。
「・・・レクイエム・・・、これをぼくが生きているうちに完成させなくては」


時はながれ、モーツァルトが世を去って、はや20年。
墓前にたたずむサリエリ。

「・・・今はもうだれも私の曲など聴かない。
世界中が君に夢中だ。

私だけが君のことを理解していた『あのころ』が、
いちばんしあわせだったのかもしれない」

友や恋人と話すように、愛をこめて語りかけるサリエリ。

ふたりは、ともに音楽を愛し、愛される者。
表裏一体の、光と影。
(モーツァルトが白衣でサリエリせんせいが黒衣なのは、わかりやすい比喩(^^)。)
Osk2019 Osk20192
良い意味で、安心して観ていられる舞台でした
(キャラクターに悪役が誰もいない)。

・・・モーツァルトが登場する直前の、劇のオープニング
の宮中舞踏会の華麗絢爛たる場面、
マイセンの陶器人形のようなうつくしさにみとれてしまいましたね♥。

つぎは『夏のおどり』、
下半期のミュージカルもいっそう楽しみです。


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2019年3月13日 (水)

OSKの『新撰組コンチェルト』。

・・・浦賀に黒船が来航して以来、開国か攘夷か騒然とする世情。
幕末動乱の時代の波にのまれもがきながら、
若者たちは己の進むべき道を模索していた。

新撰組生え抜きで明治を生きのびて天寿を全うした
永倉新八(栞さなさん)のナレーション、

京で新撰組に粛清された長州シンパ?
の不逞浪士たちの怨霊(天輝レオさん、斎藤一と二役) 
との掛け合いのかたちで、
新撰組興亡の物語が語られてゆきます。

Osk7 多摩の田舎で、乱世に一旗あげようと剣術稽古にはげむ
試衛館の面々。
京の治安警護のため会津藩預かりのうえ身分を問わず武士にとりたてられるとの
浪士組募集に色めきたつ。

たかが俺達/されど俺達/武士(もののふ)ではないが/

Osk8 やがて果敢な活躍が会津に認められ、
『新撰組』の名を賜る。
京の市井の人々の間で評判高い新撰組に、
芸妓衆も惹かれてゆく。

Osk1 土方にあわい思いをよせる
若手芸妓・梅若。
「土方はんは、『鬼』なんかやない、志のある優しいお方や・・・」

・・・観る前は悲恋を想像していたのですが、あっさりと一方通行の片思い(笑)、
それがかえって良い味だしている、 
芸妓さんたちは、殺伐とした男の世界に安らぎをそえる、明るい狂言回し
Osk5 生え抜きの同志である山南の離反と切腹、
池田屋で喀血して病の床につく沖田。
鉄の規律で縛られた新撰組の「なにか」が瓦解してゆく
とともに、時代は急旋回しつつあった・・・

Osk3 朝廷の懐柔に成功した薩長同盟、
新撰組はあえなく『朝敵』の汚名をかぶる。
時流の転変のなかで、
沖田や近藤をうしない、
Osk6 先立った同志たちの志を背負い報いんがために
土方歳三は
戊辰戦争から函館の
最後の最後まで戦いつづける・・・

Osk9 土方の死。
楊琳さんの倒れ方がとてもうつくしくて、みとれてしまいました。
・・・千秋楽の舞台を、
娘とゴック先生(主人のベトナム語会話の先生)と観る機会をえました。


Osk2 娘はともかく、さすがに
ゴック先生には幕末の時代劇はわけがわからない
のでは(じつは、娘もかなりあやしい(苦笑))
と思ったのですが、
和服の所作や殺陣、
京ことばやべらんめえはものめずらしかったようです(ゲイシャ・サムライ?)

「・・・これ、たった150年前の出来事なんですよ
といったら、そっちのほうが意外だったようで。

Osk10 エンディングのOSKのテーマ『桜咲く国』、
和服とパラソルのミスマッチも、歌劇の魅力。
歌舞伎の反対ともいえる
女性劇団員のみの舞台『少女歌劇』は、

歌舞伎とならび日本独自の、
世界に誇れるサブカルチャー
だと思います。

ダンスと歌のステージもさりながら、
ジェンヌさんたちの発声と話し方が美しいので
日本語の勉強(ヒアリング?笑)にもなるらしく、
また、さそってください
と言っていただけるとうれしいですね
近鉄アート館の公演はおわりましたが、 
この4月にあのハウステンボスの親会社、旅行会社のエイチ・アイ・エス
主催で
大阪城ちかくのクールジャパン大阪開場記念公演
と銘打って
宝塚OGや​ハウステンボス歌劇団​等グループをかえて何回か歌劇上演され、
OSKは今回の『新撰組コンチェルト』をひっさげて参加されるようです。 

史上初!! 日本の歌劇大阪城に集う

お近くのかた、興味もたれたかたは、ぜひ足をお運びください。 


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2019年3月12日 (火)

OSK『新撰組』観てきました。

Osk OSK日本歌劇団​『新撰組狂奏曲コンチェルト』
近鉄アート館の公演がぶじおわりました。

昨年の今頃は、同じく
はやみ甲先生の作・演出・振付の『三銃士ラセコンド』堪能しましたね。

『三銃士』ではアトス役の楊琳さんが土方歳三
(楊琳さんは、知的でクールな役がとても映えますね!)、
アンヌ王妃の千咲えみさんが愛らしくひょうきんな
先斗町の芸妓・梅若さん。どちらもはまり役でした。

それにしても楊琳さん、
年末年始の『円卓の騎士』主演につづき
3月の『新撰組』主演、間をおかず『春のおどり』開演
と文字通りたてつづけ、休む間もない感じですが、
どうか大事無く全うしていただきたいと祈願します。

キャスト10数名のすくない人数で
ミュージカルを構成するのは大変だなと頭がさがりますが、
おかげで観る側は、演じるみなさまと
距離が近く劇や舞台のうつくしさをじっくり鑑賞できるたのしみがあります

Osk4 ブロマイド画像右端、沖田総司に扮する虹架路万さん。
『血風録』や『燃えよ剣』のイメージとやや異なる、
からりとドライでちゃきちゃきしたべらんめえ調の若者を好演されました。

外見も、舞台とはいえ金髪ロングヘアの沖田総司・・・
その昔、昭和50年代のNHK人形劇『真田十勇士』の
やはり金髪ロンゲの『猿飛佐助』をふと思い出しました
(あの辻村ジュサブロー氏の人形美も、当時としては、いえ今みても、
ひじょうに斬新だった)。

Nhk 猿飛佐助と、背後に
美しいくの一、夢影。

おそらく、歌劇おとめのみなさんは、
形式上、男役・娘役と分かれていても
じつはどちらも自在に演じられるのでしょうね。

虹架路万さん、小顔で華奢なので
娘役もいけそう
と思ったら、実際に最初は娘役に分別されたのを
とちゅうで男役に転向されたのだそうです。

ギムナジウムとか、
少年役もとてもあいそうですね
・・・たとえばコメディータッチのミステリーで、
桐生麻耶さんの明智探偵(そして二十面相、一人二役で)、
虹架路万さんの小林少年、
朝香櫻子さんの妖艶な「黒蜥蜴(とかげ)」
・・・ 
なんて、妄想するだけでたのしくなってきます(ワクワク)。

Osk_2 劇場出入り口で、
顔見世とファンサービスに立つ若手ジェンヌさん。
未来のトップスター、名コンビでしょうか

2019年3月 5日 (火)

遠き仏領インドシナ。

戦前戦後を通してパリを席捲した流行歌
可愛いトンキン娘』。
ジョセフィン・ベーカーはじめ多くのスターが歌ってヒットしたようです。

トンキンは、トンキン湾一帯
つまりハノイふくむ現在のベトナム北部をさすのだそうで。
歌われている『トンキノワーズ』は
たぶんショーガール、歌手か踊り子とおぼしく、
異国情緒あふれる詞とメロディーは
パリの聴衆に大いによろこばれたことでしょう。

こちらは1941年発売の『佛印だより』、
現在は失われた時代の記憶の断片
・・・のはずなのに、
なぜか歌詞に既視感がありますね。

(親日のベトナム美人にDNAのルーツの近さを感じ、
サイゴン米の美味しさに舌鼓をうつ?・・・
21世紀現代も、あまりかわらないような。)

戦前の貴重な映像。

街の中心を市電が走り、
鉄道を引いてりっぱな列車が通る、サイゴンは時代の最先端をゆく都市だったのですね。

そういえば、ハノイで開催された先の米朝会談・・・
交渉中断して大きな成果はなかったように報道されましたが
開催地ベトナムには経済効果とかメリットが少なからずあったのでしょうか。
(北の将軍さまは往復はるばる大陸横断して鉄道でお帰りになったとか、

これからベトナム各地をむすぶ鉄道そのほか交通網がいっそう発展してより便利になると

いいのですが。)


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2019年1月11日 (金)

『若い日本』山口采希さん。

くりかえし、聴きほれています。

若い女性シンガーののびやかな歌唱が、いっそう詞と曲のよさを引き立たせていますね。

本来は、奈良県大和高田市が発祥の地。
1964年東京オリンピックの2年前、1962年に一般公募された
『国民の歌』で、市職員のかたが応募した作品がみごとグランプリに輝いたのだそうです。

大和高田市で生まれた国民の歌
若い日本

うら若きシンガーソングライター山口采希さんは
東大阪市ご出身とのことで、なんだかうれしくなりました。
ゆくゆくは花園ラグビー場、ラグビーをテーマにした楽曲もてがけていただきたいですね。
今後いっそうのご活躍に期待します。

​​​​「若い日本」~国がさくらの花ならば、ひとりひとりが花びらだ 輝く誇りを持っている​​​​



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2018年12月26日 (水)

OSK日本歌劇団『円卓の騎士』。

Osk2 OSK日本歌劇団の『​円卓の騎士​』。
幻想性つよく、味わい深い作品でした。

原典は、いわずとしれた『​アーサー王伝説​』、
細かい設定はオリジナルな味付けもありましたが・・・
 
ときは5世紀。
ようやくローマ帝国の支配を脱したブリテンの地は、
北方のノルマンやサクソン等あらたな外敵の侵攻にさらされる群雄割拠の混沌にあった。

ブリテン人すなわち先住民族ケルトの崇拝
をうけるドルイドの長・大魔術師マーリンは、
先王ユーサー・ペンドラゴンの息子アーサーを
ブリテン統一の大王とすべく養育する。
名剣エクスカリバーの持ち主と定められ、勇猛な戦士に成長したアーサーは、ゆくゆくは
マーリンのもとで姉弟同然に育った女魔術師モルガン・ル・フェイ
と結ばれて自らと同じく英雄となる息子をもうけるはずだった。
いっぽうアーサーを名剣エクスカリバーへとみちびいた湖の乙女
が育てたランスロットはアーサーの親友にして頼もしい同志となる。

・・・実は湖の乙女イグレインこそ、
アーサーの生みの母だった。
ブリテンの王となるべく生まれたばかりのアーサーをマーリンにとりあげられ、
やりばのない悲しみにしずんだ彼女は、湖のそばで戦死した騎士とその奥方の赤子をひろい
わが子同然に育てることで母性愛を満たそうとしたが、
それすらもマーリンの計略内だった
(アーサーに大事あった場合、ブリテン統一の任務をつとめるダミーが『湖の騎士ランスロット』)。

しかし和平の使者として
コーンウォールの王女ギネビアが現れたことから
マーリンの計略に狂いが生じる。

ギネビアの美しさと優しさ、
「神がお望みになるのは『支配』ではなく『愛』です
と述べる進取の精神に惹かれてゆくアーサー。
マーリンの反対を押し切り
ついに彼女を妃にむかえる。
(しあわせでいっぱいのふたりだったが
親友ランスロットもまたギネビアに魅せられていた。)

名案を思いつくアーサー、

「『円卓』をつくろう。
種族や身分の上下など関係なく、うちとけて友と語りよろこびかなしみをわかちあえる
『円卓』を」

瞳かがやかせて同意するギネビア。

悲しみにうちしずみ出奔したモルガン・ル・フェイは
「喪わずにすむ私だけの『愛』がほしい」
と望み、魔法の禁忌をやぶって塵から赤子をつくりだしてしまう。
が、マーリンに看破されとりあげられたみどりご
に、マーリンは地上最強の魔法をかける。
アーサーもランスロットもおよばぬどころか
世界をも破滅させかねない力を秘めた危うい存在『モードレッド』。
ケルトの民によるブリテン統一の宿願のためにやむをえない必要悪の
筈だったのだが・・・


Osk3 湖のおとめとマーリンのお告げにみちびかれ、
岩から聖剣を抜こうとこころみるアーサー。
背後にはいにしえの妖精たちが舞い踊る。

Osk2_2 国土統一の相次ぐ戦に疲弊する王の心を癒す 
爽やかな風のようなギネビア姫。
魔法や妖術でも、人が人を恋する心はおさえられない。

姦計にはまり不義密通をでっちあげられた
ランスロットとギネビア、

Osk5 妃処刑の土壇場でマーリンのはかりごとを知り
苦悩と絶望に混乱するアーサー。
「すべては・・・嘘か!!」

モードレッド「もはやアーサーもランスロットも要らぬ。
武力と圧制で私が最強の王国を仕上げよう」
 

Osk4 生みの親モルガン・ル・フェイはもとより
大魔術師マーリンもすでにモードレッドの敵ではなかった。

・・・世界支配のコントロールのために
最高の叡智を結集してつくりあげられた強大なエネルギー
がやがて製作者の手に負えない暴走を始め、世界を破滅させかねない
危険な存在と化す
・・・って、これは原水爆、『核』の暗示なのでしょうか。

しかも万人を不幸においやる危険な『怪物』が
外見は『美しい子供』とは・・・
映画『オーメン』か
あるいは手塚治虫先生の初期傑作『メトロポリス』を
思い出すような・・・ぶるぶるっ。 

最期の戦い。
渾身の力でエクスカリバーをふるい
モードレッドをたおすアーサー(事実上相討ち)、
モードレッドは元素に戻り飛散した。

Osk1 瀕死のアーサーを抱きささえるモルガン・ル・フェイ。
「貴方にとって、私はいつまでも『姉』でしかないのね」
と悲しみながら、これもまた『愛』。
女魔術師の彼女でさえも、「みのらない、報われぬ愛」はなすすべがなかった。

・・・いろんなことを考えさせられ連想させられる作品でした。

土着の古い信仰勢力が
キリスト教の新興勢力に淘汰されてゆく
時代の変換。
ともとれるし、

民族統一の強権国家を成立させようとする
ナショナリズム(マーリン)と
和平・多民族共生を説くリベラリズム(ギネビア)の対立
を表現しているようでもあり、

中世騎士道ロマンに題材をとりながら、
どこかとても今日的。

偉大な王というより
運命の子として戦いつづけねばならない
孤高の若者・アーサーを
熱演した楊琳さんは完璧すぎるほどに美しく、

大魔術師マーリンも制御できない
モードレッドに扮する実花ももさんは、
ぞくっとするほど異彩を放っておられました
(ふだんは愛らしい娘役さんですね。そう思うと、妙にエロティック)。

みなさま、すばらしい舞台ありがとうございました。

1月からは東京公演ですね。
観にゆかれるかたが存分に楽しんでくださいますように。 


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2018年11月30日 (金)

『円卓の騎士』ポスター。

Osk0OSK日本歌劇団
12月・1月公演の『​円卓の騎士​』ポスター。
駅構内の・・・たいそう見づらい位置にはられていました

アーサー王伝説なので、これは・・・不倫に端を発する悲劇で
滅びの美学にもってゆくのかなと想像しますが、
主役はランスロットではなくアーサー王とのことで、どんな展開になるか期待しましょう。

楊琳さんのアーサー王

舞美りらさんのギネビア王妃、

一昨年は
『ロミオとジュリエット』でも共演した名コンビのおふたり

楊琳さんは今年は『三銃士』に始まり『春のおどり』『夏のおどり』
『マイ・ディア』、来年3月の『新撰組』と花舞台がめじろおしのご活躍、
凛々しい美しさにますます痺れさせてもらえそうです

衣装製作は​こちら​、
気鋭の舞台コスチューム製作チームとのことで、これもまた観劇の大きな楽しみ
なので見逃せません。


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