少年科学探偵。
子どものころ、読みふけったなつかしい名作。
作者の小酒井不木は帝大出身の医学博士で、児童向きとはいえ
科学者らしく理知的・明快な筆が冴えています。
難事件にいどむ12歳の天才少年、塚原俊夫くん
と
その助手にして用心棒役の大野青年(ホームズのワトソン博士よろしく、本文の語り手)。
塚原俊夫くんは少し後の
江戸川乱歩の小林少年や少年探偵団の先駆者
と呼ぶべき存在ですが、
怪奇スリラーよりも
『科学的応用』がずっと強調されているあたり、
現在の警察の科学捜査の源流といえそうです。
電信符号の暗号。
貴金属の性質を用いた溶解と還元。
心理学の応用と誘導。
軟禁された隠れ家の埃の内容から、現在地をつきとめる。
・・・理系は全くお手上げの読者(私)(笑)でも、わかりやすく
物語の世界に引き込まれます。
塚原俊夫くんシリーズが発表されたのは1924年から28年、
大正13年ごろから昭和初年まで。
作者が戦前の不治の病とされた肺結核で早世されたことはまことに惜しまれますね。
本作から仄見えるのは、科学技術文明の発展といっそうの充実への期待、
大正・昭和のモダニズムは
迫りくる戦争という時代の暗雲の中でも未来に明るい希望を抱いていたのだなと
胸にこみあげるものがあります。
代表的な作品の幾つかは、青空文庫で読めるのがうれしい。
作者生前の単行本は1926年の文苑閣刊、
作者の序文にあるように
挿絵入りの大正期の児童向け書籍ということで、
いつか拝見する機会を得たいです
。
初版本で挿絵を担当した「森田ひさし画伯」とは
大正から昭和戦前にかけて多数の雑誌の挿絵で活躍した森田久
とおぼしく、当時の有名人で
時代に忘れられて現在はうもれてしまっている逸材
が少なくないであろうことも切ないですね。
同名ですが、このかたでしょうか?
やはりネット
は便利です。
復刊された最新版(2012年、真珠書院)。
平成版のイラストは、美少女のような俊夫くんとイケメンの大野青年、
こちらは私がこどものころ読んだ(笑)
少年少女世界の名作日本編・小学館・1965年刊より。


・・・ぐっと、1960年代の雰囲気が伝わってくるようです
。
ほかに、1978年ごろ
劇画家の古城武司先生がコミカライズした『少年科学探偵』もあるようで。
そちらも、みたいなあ
。
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